オチビサン歳時記 第五回「かき氷」

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オチビサン歳時記 第五回 〜かき氷〜

暑い日には、冷たいかき氷!
シロップやトッピングにこだわり、
フワフワの食感を追求した高級かき氷も人気ですが、
縁日や海の家で食べる昔ながらのかき氷もおいしいですよね。
オチビサンたち、ほてった体をクールダウンするのかと思いきや、
あれ? せっかく買ったのに、食べないの!?

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かき氷がいつから食べられていたかは定かではありませんが、平安の随筆、清少納言の『枕草子』にこんな一節があります。

――あてなるもの、(中略)削り氷にあまづら入れて新しき金鋺に入れたる――

「あてなるもの」とは「上品なもの」という意味。あまづらは、ツタの樹の汁を煮詰めたシロップといわれ、当時の高級甘味料でした。甘い氷が舌の上でとけていくのは、至福の時だったのでしょう。

むろん、こんなぜいたくは富裕層だけのもの。夏の氷はたいへんな貴重品でした。水を凍らせることなどできない時代ですから、冬の間に凍った池から氷を切り出し、それを山などの寒冷地にほった「氷室」という貯蔵庫において、植物で覆って夏まで保管したのです。朝廷にはその氷を管理する役人までいました。

時代が下っても苦労は続きます。江戸城の氷室は富士山にありましたが、馬や飛脚が必死に運んでも、届くころには、とけてわずかになっていたとか。旧暦の6月1日には、北陸加賀藩から約500㎞を飛ばして、江戸の将軍へ「お氷様」が献上されました。通常10日の道のりを4~5日でかけたというので、飛脚のプレッシャーは並大抵ではなかったでしょう。まるでオチビサンとナゼニのかき氷のようです!

今では夏中毎日でも食べられるかき氷。青い波に「氷」と赤く書かれた旗は、夏の風物詩ですが、あの旗に、小さな鳥が飛んでいるのにお気づきですか? 「波に千鳥」は、浴衣でもおなじみの柄。でも、実は千鳥は冬の季語。だれがデザインしたのか、暑い夏に涼を演出したのかもしれません。

文/ かなだ たえ
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