オチビサン歳時記 第一回「七夕」
オチビサン歳時記 第一回 〜七夕〜
今年の七夕、みなさんはどんな願い事をしましたか?
愛らしい願い事や、ちょっと笑える願い事、
人々の書いた短冊を見て回るのも、七夕の楽しさです。
でもオチビサンは、みんなに見られるのがちょっと恥ずかしいみたい。
ちなみに本来の七夕は旧暦の7月7日。今の暦にすると今年は8月20日です。
月遅れで楽しむのも、いいかもしれませんね。
牽牛と織女が天の川を渡り、年にたった一度会える星祭り。七夕の伝説は中国で生まれました。この日中国には、手芸の上達を星に祈る「乞巧奠」という行事があり、それが伝説とともに奈良時代の日本へ伝わったのです。
七夕ははじめ「しちせき」と呼ばれ、上流社会の行事でした。「たなばた」の名がついたのは、日本に古くからあった神事によるとも言われています。豊作を願って神にささげる布を織る「棚機津女」という乙女が、織女のイメージと重なったのだとか。梶の葉に和歌をしたため、裁縫や書道の上達を願ったというかつての七夕。その墨は、里芋の葉の朝露ですりました。露を、天の川のしずくになぞらえたのです。
七夕が庶民の間に広まったのは江戸時代。梶の葉は短冊となり、神聖な笹竹に飾るようになりました。短冊は、陰陽五行説にもとづいて「青(緑)・赤・黄・白・黒(紫)」の五色を用います。「木・火・土・金・水」をあらわす五色は、鯉のぼりの吹き流しや寺社のお守りの色にも見られるので、探してみてください。
「網飾り」は大漁や豊作を願い、「折鶴」は長寿を祈り、「提灯」にはみんなの願いを照らす意味があるという七夕飾り。オチビサンの切実な願いも、パンくいの欲張りな願いも、天の星にきっと届くことでしょう。
文/ かなだ たえ