②『マザーハウス×オチビサンが、とっておきのバッグを作りました』

「オチビサンのお散歩バッグ」のデザインの原型は、オチビサンが作中で身につけている小さなポシェットです。山口さんのデザインは自然というモチーフに対して“忠実であること”がモットー。このバッグも「オチビサン」の世界観がそのまま伝わるようにと、細部にまでとことんこだわって作られました。



自然は先生であり、私を守ってくれる人

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先ほど、「デザインはモチーフが納得してくれることが大事」と仰っていました。モチーフをデザインに反映する際、具体的にどんな作業が行われるのでしょう。


山口 たとえば、銀杏をモチーフに商品を作った話でいうと、まず“なぜ銀杏の葉は二股なのか”を調べます。そして調べると、やっぱり何千年も生きている木だから全部理由があるんですね。効率的に栄養を運ぶためだったり、葉の片方に雨の雫が溜まると茎がぽきって折れちゃうから、そうならないために二股に分かれているんですよ。私はそういうこともちゃんと知りたいし、こういった良さをどうにか形にしてお客様に届けたい、そう思ってデザインしています。

でも、たとえその良さが伝わらなくても、銀杏が喜んでくれたなら私としてはそれでOKなんです。そうしないと、考えがどんどん売り上げやビジネスの方に引っ張られていっちゃう。自分の中でのゴールを「自然界のみんなに喜んでもらうため」って思うことで、どうにか自分の世界を守っていけるんです。私にとって自然は先生であり、守ってくれる人でもありますね。

絵そのままのフォルムを再現したくて

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自然の中にある色や形をモチーフにしているマザーハウスさんのバッグと、「オチビサン」の世界には共通する点がとても多いと思います。この企画が持ち上がった時は“できる!”と?


山口 うん! 作業もすごく早かったです。普段はデザインのイメージが浮かぶまでちょっと時間かかるんですね、どんなにシンプルなアイテムでも。でも今回は、オチビサンが下げているあのバッグを見た瞬間、どれぐらいのサイズで、こういう構造だったらぴったりだな、っていうのがすぐに浮かんできた。


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今回一番こだわったのはどこですか?


山口 フォルムですね。このバッグの上下部分の比率と、オチビサンの頭と胴体の比率って、だいたい同じじゃないですか。バッグになった時に、その印象が変わってしまったら可哀想だなと思って。実際に持って身体に重なった時の質感も、絵から感じる雰囲気より柔らかくても硬くてもダメだし。あとは胴体のこんもりした感じとか、そういうのはすごく大事だと思うから。
なので素材の革も、シボ感(皮革の表面にあるシワ模様のこと)の大きいのと小さいのとで2種作ったんです。まずはシボの大きい方で作ってみたんですが、それだとあの丸っこいシェイプがうまく出なくて。それでもっとシボ感のうすい、やわらかい革にしました。
裏地は、オチビサンの服と同じ赤と白のボーダー。この生地は市場に出かけた時に見つけて、見た瞬間に「これだ!」って思いました。売れてなくなっちゃったら困るからその場であるだけ買い込んだのだけど、そうしたら後で現地のスタッフに「何で先に買っちゃうんだ! まだ決まってないことがあるのに」って怒られちゃって(笑)。

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(笑)。


山口 その人は現地の代表でモインというのだけど、彼はすごくしっかりしているから、こういうことは今までもわりとある(笑)。あとね、バングラデシュでこの柄のTシャツがすごい人気なの(笑)! 人気っていうのもあれだけど、この赤白ボーダーを着ている人を今まで何人も見かけていて。バングラデシュとの共通点というと大げさだけれど、なんかそういうところからも、さらにオチビサンに親近感を抱いちゃったんですよね。
お散歩バッグ(キャメル) お散歩バッグ(ブラウン)

8月以降のお届けになります。

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